住宅ローンを返済することが難しくなり、滞納が続くと督促状や催促状が届いて、最終的には競売開始の通知書が届きます。こうなるとあなたの自宅は裁判所によって強制的に売却されてしまい、あなたの手元にはお金も残らず、家が売れた後はただちに退去せざるを得なくなります。これを回避するために使われる一番の方法が任意売却です。
任意売却とは
任意売却とは、住宅ローンの債務者が債権者と話し合ったうえで、自分の意思で自宅を売却する不動産売却手法です。特徴としては基本的に住宅ローンの債務返済の方法として採択される傾向があり、一般市場での不動産売却価格に近い価格で家を売ることができるという点が挙げられます。一般市場では売ることが出来ない不動産を売れるので、競売を回避するための最善策としても知られています。
競売とは
競売とは債権者が債権を回収するため、裁判所主導で債務者の所有する不動産を強制的に売却する手続きのことです。競売によって得られた売却金は全て債権者の債権回収に充てられます。競売での売却価格は入札によって決定され、最高額で入札した人が落札者となります。落札者つまり新たな家の所有者に自宅が渡った後、旧所有者となるあなたはただちに元自宅を退去することになります。なので、競売が終わるとあなたの手元にお金は残らず、家も失います。
任意売却と競売の違い
任意売却と競売の違いは、以下のとおりです。
項目 |
任意売却 |
競売 |
売却の主体 |
債務者 |
債権者/裁判所 |
売却価格の決定方法 |
債権者と相談 |
オークション形式(競売入札) |
売却のタイミング |
債権者と債務者の双方で合意のうえで決定 |
裁判所が指定 |
売却の条件 |
債権者と債務者の双方で合意のうえで決定 |
裁判所が定める |
任意売却のメリット
任意売却のメリットは、以下のとおりです。
- 売却価格が高くなりやすい:
任意売却では、売却価格を債務者と債権者が話し合いで決めるため、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。 - 引越し費用などを捻出できる場合がある:
任意売却では、引越し費用や解体費用などを、債権者との話し合いで捻出できる場合があります。
任意売却のデメリット
任意売却のデメリットは、以下のとおりです。
- 売却に時間がかかる:
任意売却では、売却に6〜12ヶ月程度かかることがあります。競売開始の通知書が届いてから相談すると、任意売却成功までに間に合わなくなる可能性が非常に高くなります。 - 希望通りの売却価格にならない場合がある:
任意売却では、債権者の同意が必要なため、希望通りの売却価格にならない場合があります。ただし競売に比べて高く売れ、手元にお金を残せるので、競売よりはよっぽどマシです。
競売のメリット
競売のメリットは、以下のとおりです。
- 債務者の負担が少ない:
競売では、債権者が売却手続きを進めるため、債務者は売却手続きにかかる費用や手間を負担する必要がありません。つまり何もしなくても競売は進みます。(ただし競売完了による良いことは一つもありません。)
競売のデメリット
競売のデメリットは、以下のとおりです。
- 売却価格が低くなる:
競売では、入札によって売却価格が決定されるため、市場価格の70%程度で売却されることが多いです。 - 手元にお金が残らない:
売却金は全て住宅ローンの返済に充てられるので、不動産の元所有者であるあなたの手元にお金は残りません。 - 強制退去になる:
競売では、落札者が決まるとただちに自宅を明け渡すことになります。引っ越しまでの準備期間が十分ではない可能性があります。
任意売却と競売のどちらを選ぶべきか
任意売却と競売のどちらを選ぶかは、以下の点を考慮して決めるとよいでしょう。結論としては任意売却を選ぶべきです。
- 売却価格:
任意売却では、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。一方、競売では、市場価格の70%程度で売却されることが多いです。売却価格に関しては、任意売却を選ばない理由はありません。 - 時間:
任意売却では、売却に6〜12ヶ月程度かかることがあります。一方、競売では、裁判所の指定に従う必要がありますが、早ければ1〜2ヶ月で売却されることもあります。ただし競売によって得られるものはありません。 - 売却後の準備や生活再建:
任意売却では不動産の売却が終わった後の準備資金を捻出することができる可能性がある一方、競売では手元に一切のお金を残すことができないので、その後の生活再建が非常に厳しくなります。
まとめ
住宅ローンの返済が困難になった場合、任意売却と競売のどちらを選択するかは、慎重に検討する必要があります。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、最適な方法を選びましょう。
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